コラム
公開日:2022/04/28
更新日:2022/04/28

相続税の納付|支払い方法と納付書の書き方を徹底解説

相続税申告書の提出ならびに相続税の納付は、相続が発生してから10か月以内に行います。

そしてこの短い期間に、まとまった納税資金を準備する必要があります。

申告書の提出後、納税を行う際に「どんな方法で納税すればいいの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。ここでは「相続税の支払い方法と納付書の書き方・記載例」について紹介します。

1.相続税を納付・支払う4つの方法

相続税を納付する方法は4つあります。方法によって手数料の有無や受領書の有無が異なり、相続税額によって利用できる方法が異なります。順番に見ていきましょう。

1-1.銀行など金融機関で納付する方法

一番の一般的な方法は銀行などの金融機関で相続税を納付する方法です。金融機関で相続税を納付するためには、税務署指定の「納付書」を自分で作成する必要があります。納付書の書き方については「4.納付書の記載方法」で詳しく説明していますので、ご覧ください。

<メリット>

・預金口座から直接支払える

預金口座がある金融機関で納税手続きを行えば、預金口座から直接納税を行うことができ、現金を持ち運ぶ必要がありません。作成した納付書と預金口座の通帳、届出印を窓口に提出するだけで簡単に手続きできます。

金融機関に現金を持ち込んで納税することも可能ですが、相続税が高額である場合には多額の現金を金融機関まで持っていくことになるため、防犯上おすすめできません。

・インターネットバンキングが利用できる

金融機関によってはインターネットを通じて税金等を納付できるサービス「Pay-easy(ペイジー))が利用できます。利用の可否は預金口座をお持ちの銀行などの金融機関へお問い合わせください。

・手数料がかからない

金融機関での納税には手数料が発生しません。また、納税したことを証明する領収済通知書をもらえますので、大切に保管してください。相続税の納付は、ほとんどの金融機関で対応していますが、一部の信用組合や農業組合では対応していないこともありますので、前もって確認しておくといいでしょう。

1-2.管轄税務署の窓口で納付する方法

相続税の納付は管轄税務署の窓口でも行うことができます。

<メリット>

・申告書の提出と納税が一度にできる

税務署への相続税申告書の提出と併せて納税することも可能です。

・手数料がかからない

管轄税務署で納付する場合は手数料がかかりません。

<デメリット>

・防犯上のリスクがある

相続税が高額である場合、管轄税務署まで多額の現金を持っていくことになるため、防犯上のリスクがあります。また、ATMによる現金の引き出しにも上限がありますので、相続税額が高額になる場合は金融機関で納付する方法をおすすめします。

1-3.クレジットカードで納付する方法

相続税の納付は、クレジットカードで納付が可能です。

24時間いつでも納付することができるため便利な方法です。クレジットカード納付する場合は、トヨタファイナンスが運営する専用の「国税クレジットカードお支払いサイト」で手続きを行います。必要な情報とクレジットカード情報を入力することで納付手続きが完了します。

<メリット>

・いつでも納付手続きができる

インターネット環境とクレジットカードがあれば24時間いつでも納付手続きが可能です。納付手続きが完了した時点で納付とみなされます。

・支払いを遅らせることや分割払いすることができる

クレジットカードで納税を行うと、手続きを行った日が納付日となります。しかし、実際の支払いはクレジットカード会社が規定する口座引き落とし日になりますので、それまで支払いを遅らせることが可能です。

また、クレジットカード会社によっては分割払いやリボ払いを選択することが可能です。ただし、分割手数料などが発生してしまいますので注意しましょう。特に、リボ払いは利息が高額になりますので、計画的に行いましょう。

・ポイント還元される場合がある

クレジットカード会社によっては、利用額に応じてポイント還元を行っており、相続税の支払いにも適用される場合があります。「税金の支払いはポイント還元対象外」にしているクレジットカード会社もありますので、ご利用の際は事前に確認しておくといいでしょう。

・使えるブランドが多い

納税に利用できるカードのブランドは「Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARD」となっています。

<デメリット>

・手数料がかかる

クレジットカードで納税すると、手数料が1万円あたり税抜76円かかります。

・間違えたら税務署で手続きが必要

誤って納付手続きを行った場合はサイト内で取消すことができず、税務署で還付手続きすることになります。

・領収書が発行されない

クレジットカードを利用するため領収書は発行されません。

2-4.コンビニで納付する方法

相続税額に制限がありますが、コンビニで納付することもできます。

<メリット>

・いつでも納付できる

ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ、ファミリーマートでLoppiやFamiポートを利用していつでも納付が可能です。

・手数料がかからない

コンビニで納付する場合は手数料がかかりません。

<デメリット>

・納付額に制限がある

コンビニで納付できる税額には制限があり、相続税額が30万円以下の場合に限られます。

・事前に税務署でバーコード付きの納付書を発行してもらう必要がある

コンビニでは自分で作成した納付書で納付することはできません。事前に税務署に行き、バーコード付きの納付書を発行してもらう必要があります。税務署に一度行くのであれば、窓口で支払う方が手軽ではないでしょうか。

2.相続税の納付の注意点

2-1.相続税納付の大原則は現金一括納付

相続税の納付は「納付期限までに現金一括で納付」が大原則です。納付期限までに納税ができない場合にはペナルティが課されます。例外として、遺産に不動産など、簡単に現金化することができない財産が多く含まれている場合には、延納や物納を申請することが可能です。延納や物納はあくまでも例外的な方法ですので、納付期限までに現金一括で納税できるように準備しましょう。

相続税の延納・物納とは|メリット・デメリットなど解説

2-2.納付は各相続人がそれぞれ納付すること

相続税は、各相続人が相続した財産の額によってそれぞれ計算されるため、各相続人がそれぞれ相続税の納付を行わなくてはなりません。そのため、相続人の1人が他の相続人の相続税をまとめて納付すると、支払った人から他の相続人への贈与とみなされ、贈与税の対象になってしまいますので注意しましょう。

3.相続税の納付書の記載方法と記載例

金融機関や管轄税務署の窓口で相続税を納付する際には「納付書」が必要になります。納付書は税務署が金額を記載して郵送されてくるのではなく、自分で作成しなければなりません。ここでは相続税の納付書の書き方・記載例を紹介します。

3-1.納付書はどこでもらえるか

納付書はどこでもらえるのでしょうか。

基本的には、税務署の窓口又は金融機関の窓口に用意されています。金融機関の窓口では在庫がなくて入手できないケースもありますので、できるだけ税務署で納付書を入手するといいでしょう。また、書き損じた時のため予備の分ももらっておきましょう。

3-2.納付書の書き方

相続税の納付書は次のように記載します。

①年度

4月1日から3月31日を区切りとして、納付する年度を記載します。上記の例では「04」となっており、令和4年4月1日から令和5年3月31日までに納付する場合に上記のように記載します。

②税目番号

相続税の税目番号「050」を記載します。

③税務署名・税務署番号

管轄税務署名と税務署番号を記載します。税務署番号が分からない場合は日本銀行の「歳入金等取扱庁一覧」で確認できます。

https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/kokko/data/saitori.pdf

④納期等の区分

相続が発生した日(被相続人が亡くなった日)を記載します。

⑤税目

「相続」と記載します。

⑥本税

相続税額を記載します。

⑦合計額

¥マークを付けて本税の金額を記載します。

⑧住所・電話番号

被相続人(亡くなった人)と相続人の住所をそれぞれ記載します。電話番号は相続人の電話番号を記載します。

⑨氏名

被相続人と相続人の氏名をそれぞれ記載します。フリガナは相続人のみを記載します。

⑩申告区分

4番目の「確定申告」に〇をつけます。

4.まとめ

今回は相続税の納付方法の納付書の記載方法・記載例、どこでもらえるか等を解説致しました。

相続税の納税額は高額になりやすく、どうやって納税した方がいいのか迷うこともあります。

金融機関で納付する方法以外にも、クレジットカードで納付する方法やコンビニで納付する方法などがあり、状況によっては便利ですのでこれらの方法も検討してみてはいかがでしょうか。