コラム
公開日:2020/10/22
更新日:2020/10/29

孫が遺産相続できるパターン|遺産をどのくらい孫に相続させる事が可能?

「孫に財産を残してあげたい」と思われる方が多くいらっしゃると思いますが、特別な場合を除いては孫が祖父母の「遺産を相続する権利」はありません。孫は遺産を相続する権利がある法定相続人にはあたらないからです。

しかし、財産を残す方法はいくつかあります。

ここでは、孫が遺産相続できるパターンと注意点、また相続以外で孫に財産を残す方法をご紹介します。

なお、孫と生前贈与の内容については、下記のページを併せてご参照ください。

孫への生前贈与のやり方・7つの注意点をわかりやすく解説

1.孫が遺産相続できる方法

法定相続人ではない孫に遺産相続させる方法は、次の3つに限られています。見ていきましょう。

1-1.孫に遺産を引継がせる「遺言書」の作成|遺贈

1つ目の方法は「遺言書」の作成です。

遺産相続では、原則的に「法定相続人」が財産を相続することになりますが「遺言書による遺贈」を行うことで法定相続人ではない孫が遺産を引き継ぐことができます。

「遺贈」とは、遺言者(祖父母)の遺言によって財産を受遺者(孫)に無償で与えることを言います。遺贈には、いくつか種類があります。

①包括遺贈

包括遺贈とは、遺言者の財産を「割合」で遺贈する方法です。

たとえば「遺産の3割を遺贈する」など、遺言に残す場合のことを言い、特定の財産に言及しないことが特徴です。

ただし遺産だけではなく、負債も割合で引き継ぐことになるため、注意が必要です。

②特定遺贈

特定遺贈とは、割合ではなく「特定の財産」を遺贈する方法です。

たとえば「〇番地の土地・農地を遺贈する」など、遺言に残す場合のことを言います。

この場合は、遺言者の負債を引き継ぐことはありません。

③補足

遺贈により孫が財産を引継いだ場合、孫に相続税が課税されます。

この場合、孫が祖父母の財産を相続することにより、親の代の相続が1回免れるため、孫の相続税額に2割加算して相続税の納税を行わなければならないことにも注意をしましょう。

また、遺言書については下記ページも併せてご参照ください。

■関連URL

自筆証書遺言の書き方・ポイント・注意点【2020年版】

1-2.孫と養子縁組を行う

祖父母が孫と養子縁組により、孫を「子」にすることができます。

相続第一順位の「子」には、実子以外に「養子」も含まれるため、孫が「子」として相続権を得ることができます。

祖父母が財産を引継がせたい孫へ確実に財産を相続させることができるため有効な方法です。

ただし、他の親族が養子縁組に反対するケースも多くありますので、事前に親族間でよく話し合いすることが必要です。また、孫と養子縁組を行い、孫が財産を相続した場合には「相続税額の2割加算」が適用されます。

1-3.代襲相続の場合

代襲相続とは、祖父母の子供が亡くなっている場合に「子供に代わって孫が財産を相続」することです。

代襲相続では、子が本来相続するはずだった法定相続割合をそのまま孫が引き継ぎます。

代襲相続により孫が財産を相続することができますが、子が他界している状況でしか代襲相続は発生しません。

代襲相続を意図的に作り出すことはできません。代襲相続により孫が祖父母の財産を相続する場合は、遺贈や養子縁組の場合と異なり「相続税額の2割加算」の対象になりません。

2.孫は相続でどのくらい財産をもらえる?|孫の権利

孫に財産を相続させるには上記の3つの方法がありますが、どのくらい財産を孫に相続させることができるでしょうか。見ていきましょう。

2-1.遺言書を作成した場合

遺言書により孫へ財産を遺贈する場合、遺贈する「金額は自由」に設定することができます。

極端に言えば「財産の全てを孫に遺贈する」ことも可能です。

ただし、配偶者や子などの一定の法定相続人には「遺留分」があります。

遺留分とは、法定相続人が最低限の遺産を確保できる制度です。そのため、法定相続人ではない孫が多くの財産を取得してしまうと遺留分を侵害してしまう可能性があり、遺留分侵害額請求をされ親族間で争いになる可能性があります。

2-2.孫と養子縁組を行う場合

孫と養子縁組を行うと、養子になった孫は実子と同じ権利を持つことになり、法定相続分についても同様になります。

例えば、「法定相続人が配偶者と子1人の場合」で孫を養子縁組すると、法定相続分は配偶者1/2、子1/4、孫1/4になります。

また、相続税は法定相続人が増えると税額が少なくなる仕組みのため、孫と養子縁組を行うと結果的に相続税が少なくなります。

ただし、孫が相続した財産の相続税は「2割加算」しなければならないため、孫が相続する財産次第では多額の相続税が発生する可能性があります。

なお、相続税の計算上の養子縁組は実子がいない場合で養子2人まで、実子がいる場合は養子1人までと決まっていますので注意が必要です。

そして、養子縁組の目的が明らかに節税目的と税務署から認定された場合は、養子は法定相続人の人数に含めることはできません。

2-3.代襲相続の場合

亡くなった子(孫の親)の代わりに孫が法定相続人になるため、子と同じ法定相続分になります。

例えば「法定相続人が配偶者と子1人の場合で、子が既に他界している場合」には、孫が子と同じ権利を得るため、孫の法定相続分は1/2となります。

3.祖父・祖母から孫へ相続することのメリットとデメリット

3-1.孫が遺産を相続することのメリット

孫が遺産を相続する大きなメリットの1つは「祖父母の希望を叶えられる」ことではないでしょう。

通常の相続では孫は法定相続人ではないため、祖父母の財産を相続することができません。しかし、祖父母の「孫へ財産を残したい」という希望を叶えるために、遺言書(遺贈)などの方法で孫へ財産を残すことが可能です。

またもう1つのメリットは、一代分財産を飛ばすことができることです。

通常ならば「親から子へ」「子から孫へ」財産が引き継がれていくため、祖父母から孫へ財産を引継ぐためには2回の相続が発生します。ところが、祖父母から孫へ直接財産が引き継がれることで、その財産については相続を1回分スキップすることができます。

そのため、相続税を少なく抑えることが可能です。

また先述したとおり、孫と養子縁組した場合は、法定相続人の数が1人増えることになるため、節税効果が期待できます。

3-2.孫が遺産を相続するデメリット

孫が遺産を相続するデメリットの1つは、相続税申告時に「相続税額2割加算」が適用されることです。

遺言書による遺贈の場合と孫と養子縁組をした場合は、この「相続税額2割加算」に該当し、孫が相続する財産によっては多額の相続税の納税が発生する可能性があります。

またもう1つのデメリットは、親族間のトラブルに発展する可能性があることがあげられます。

本来の法定相続人ではない孫に多くの財産を相続させることになると、本来の相続人との間にトラブルが発生する可能性があります。トラブルに発展すると、本来の法定相続人の遺留分を侵害することにより遺留分侵害額請求が行われたり、遺産分割協議が難航したりする可能性があります。

4.相続以外で孫に財産を残す方法があります!

ここまでは「孫へ財産を相続させる方法」についてご紹介いたしました。祖父母が孫へ財産を渡す方法は「相続」という方法以外に、次のような方法も考えられます。

4-1.孫への生前贈与

生前に孫へ贈与を行う方法は、孫へ財産を残す方法として効果的です。

生前贈与時に発生する贈与税には110万円の基礎控除があるため、年間110万円まで孫へ贈与しても贈与税が課税されません。

「年間110万円では少なすぎる!」と考える方もいるかもしれませんが、贈与の期間が10年、15年になれば多額の財産を贈与税の課税なしに祖父母から孫へ移転することが可能です。

なお、被相続人が亡くなる3年以内に法定相続人に贈与している場合は。通常「3年以内贈与財産の加算」が行われ、実質贈与がなかったことになります。

しかし、孫は法定相続人ではないため「3年以内贈与財産の加算」の対象になりません。そのため、相続税対策として生前贈与を行う場合は、孫への生前贈与はとても効果的です。

孫への生前贈与については、下記記事も詳しいので併せてご参照ください。

■関連ページ

孫への生前贈与のやり方・7つの注意点をわかりやすく解説

4-2.教育資金の一括贈与の非課税制度(特例)を利用する

贈与税の特例の1つである「教育資金の一括贈与の非課税制度(特例)」を利用して孫へ財産を渡すことができます。

この制度は、原則30歳未満の子どもや孫に対して学費・教育資金を渡す場合に、その金額が1,500万円未満であれば贈与税が非課税になる制度です。

通常の贈与(暦年贈与)と比べて、この特例は年間110万円超でも贈与税がかかりません。事前に一括して孫へ教育資金を渡すことができます。ただし、孫が30歳までに教育資金を使い切らないと贈与税がかかることや、教育費の使途に決まりがあるなどの注意点があります。

4-3.孫を保険金受取人とする生命保険に加入する

祖父母の生命保険金の受取人を孫にすることにより、祖父母が亡くなった場合に孫に保険金を残すことができます。

ただし、生命保険金は法定相続人が受け取った場合に利用できる「法定相続人の数×500万円」の非課税枠について、孫が生命保険金を受け取った場合には、利用することができません。

また「相続税額2割加算」も適用になり、相続税額の負担が大きくなる可能性があります。

5.まとめ:茨城県・つくば市の生前贈与・相続税対策は鯨井会計グループへ

今回は「孫が遺産相続できるパターン」をご紹介しました。

遺言書を利用した遺贈や養子縁組を行うことで孫が遺産相続をすることができます。ただし、孫が遺産相続することで「相続税額2割加算」や他の相続人との間でトラブルが発生する可能性があります。

孫へ財産を残したいと考えられている場合は、事前にしっかりと他のご家族と話し合い、課税関係などを専門家である税理士にご相談されることをおすすめします。

なお当事務所「鯨井会計」では、茨城県つくば市を中心として、相続対策の立案・実行支援サービスを実施しております。

相続税に関するセミナーも頻繁に行い、相続税に関する相談も年100件以上頂いております。

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等、少しでも相続について不安なお気持ちがある場合は、ぜひ一度当事務所にお気軽にご相談ください。