コラム
公開日:2025/06/17
更新日:2025/06/17

相続税申告は税理士に依頼が必要?メリットは?頼まないとデメリットはある?

相続税をご自分で申告するか、税理士に依頼するかでお悩みの方は多いと思います。相続税は、ご自分で申告するには荷が重い税金の一つで、多くの相続人は税理士に依頼することを選択しています。

本記事では、相続税申告を税理士に依頼したほうがいい理由や、メリット・デメリットなどについて解説します。

1.相続税申告は税理士への依頼が必要な理由

税金は納税義務者が申告するのが原則です。相続税であっても、相続人が申告するのが基本です。

1-1.相続税を税理士に依頼しないと?

しかし、相続税は制度が複雑で、申告書のボリュームも多く、素人が申告すると税額が過大になる可能性や、特例や控除の適用を忘れると、数百万円単位で損失を出してしまうリスクもあります。

また、申告を税理士に依頼せず、誤りや漏れがある可能性が高いと税務署が判断すれば、税務調査が行われる可能性が高まり、過少申告と判断されれば追徴課税されてしまいます。

1-2.相続税申告を税理士に依頼する理由

そこで、次のような理由から、相続税申告を税理士に依頼することになります。

1-2-1.相続財産が相続税の基礎控除を超えるか否かの判断が必要

相続税申告が必要かどうかは、まず、相続財産が相続税の基礎控除額を超えるか否かで決まります。

相続財産が基礎控除額を超えるか否かの判断はさほど難しくはありません。しかし、相続財産に土地や非上場株式といった評価が難しい財産が含まれていると、相続財産自体の額の算出が素人には難しくなってしまいます。

1-2-2土地や非上場株式といった財産を相続税評価しなければならない

相続税評価が難しいものには、土地や非上場株式といった財産を挙げることができます。その理由は、一律の市場価格が存在しないうえに、評価には専門的な知識が必要になるからです。

土地や非上場株式の評価を誤ると、税額が過大になる可能性や、逆に追徴課税を受けるリスクがありますが、一方で、正しく評価できれば、節税に直結します。

1-2-3.申告期限までに余裕がない

また、相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日から10カ月に申告しなければならず、相続からあまり時間的な余裕がありません。

相続人はその間にも遺産分割協議を行って、様々な相続手続きを行わなければならず、申告までに遺産分割が終わっていなければ、利用できない特例・控除もあり、節税もままなりません(ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書と同時に提出することで、3年以内に分割することができれば、適用することができます)。

こうした理由から、多くの場合、相続税申告は税理士に依頼するのが現実的とされています。

事実、財務省の「令和5年事務年度国税庁実績評価書」によると、提出された相続税の申告書のうち、税理士が関与したものが86.3%とされています。

【出典】「令和5事務年度国税庁実績評価書」「実績目標(大)3(税理士業務の適正な運用の確保)」「参考指標 2:税理士関与割合(所得税・相続税・法人税)

2.相続税申告を税理士に依頼するメリット

では、相続税申告を税理士に依頼すると、どのようなメリットを受けられるのでしょうか?

2-1.必要書類取集の手間が削減できる

相続税の申告書には、被相続人や相続人の戸籍を始め様々な必要書類を添付しなければならず、ご自分で収集するには手間と時間がかかります。

一方で、税理士に相続税申告を依頼すれば、必要書類の収集を代行してもらえ、その間に相続人は相続手続きなどを行うことができます。

2-2.適正な財産評価で無駄な相続税を節税できる

土地や非上場株式の相続税評価が難しいのは前述の通りです。土地は路線価方式や倍率方式で評価額を算定した後に、各種の補正を行って、評価額を減額します。

非上場株式は、市場での売買価格がないことから、「純資産価額方式」や「類似業種比準方式」などを使って評価しますが、どちらも、申告しなければならなくなったために、相続人がちょっと相続税をかじった程度で歯が立つものではありません。

一方、税理士であれば、期限内に正確に評価したうえで、節税までして適切に申告してくれます。

2-3.適切に特例・控除を摘要できる

相続税申告では、基礎控除以外に「小規模宅地等の特例」や「非上場株式の納税猶予」などが相続税を大きく減額できる控除・特例として知られています。

これらの特例・控除には適用要件が細かく定められており、定期的にその要件も細かく変わります。税理士は、これらの適用要件を満たせるかどうかの判断をしたうえで、効果的に相続税の節税に繋げてくれます。s

2-4.隣接他士業と連携していれば相続問題も解決

相続問題に強い税理士事務所では、弁護士や司法書士などの隣接他士業と連携していることが多く、遺産分割の利害調整や相続登記などの相続で発生しやすい問題に対応してくれます。

2-5.二次相続まで見据えたアドバイス

また、遺産分割前に相続税申告を依頼すると、二次相続までを見据えた相続税の試算を行って、節税につながる遺産分割案を提案してもらうこともできます。

3.相続税申告を税理士に依頼するデメリット

相続税申告を税理士に依頼するデメリットは、唯一税理士報酬が発生することです。一般に税理士に相続税申告を依頼すると発生する報酬相場は、相続財産の0.5%~1.5%が目安と言われています。

税理士報酬の多寡を問題にするよりも、相続税をいくら節税できたかを問題にすれば、デメリットよりメリットのほうがはるかに勝るのではないでしょうか。

4.相続税申告は相続税に強い税理士に依頼

相続税を依頼するのは、税理士であれば誰でもいいというわけではありません。

税理士事務所の多くは、法人を顧客として法人税・消費税・年末調整などの定期的な業務を請け負っており、普段は相続税に触れたこともない税理士が多いからです。

相続税は専門性が高く、業務の手間もかかるため、相続税申告は専門の税理士でなければ難しいと敬遠する税理士もいるほどです。

したがって、相続税に精通していない一般の税理士に申告を依頼した場合と、相続税に精通している税理士に申告を依頼した場合とでは、得られる結果がまったく違う可能性があるのです。

まとめ

ここまでご紹介した通り、相続税は相続人が申告するには荷が重い税金の一つです。

相続税申告を相続税に強い税理士に依頼すると、得られるメリットも多くあります。ただし、相続税は専門性の高い税金の一つであり、相続に強い税理士に依頼することをお勧めします。

また、贈与税などについても、法律の専門家にご相談ください。当事務所でも、税理士・弁護士・社労士・司法書士・不動産鑑定士・FP等と連携し、一つの窓口で相続に関する全てをサポートさせて頂いております。お気軽にご相談ください。