コラム
公開日:2023/10/27
更新日:2024/03/18

代襲相続できない場合とは?代襲相続させない遺言は有効?

本来、相続人になる人が先に亡くなっている場合、その相続人の子どもが代襲相続人として遺産を相続することができます。

しかし、一定のケースでは、代襲相続が発生せず、代襲相続ができないこともあります。

常に代襲相続により遺産を相続できるわけではありませんので、どのようなケースが代襲相続できないのかをしっかりと押さえておくことが大切です。

今回は、代襲相続できない場合とできる場合、遺産を代襲相続でもらえるか、もらえないか、孫に代襲相続させたくない場合はどうするか、甥姪の遺留分侵害額請求は可能かなどをわかりやすく解説します。

1. 代襲相続とは

代襲相続とは、被相続人が死亡した時点で、代襲相続の原因が発生している場合に、その子どもなどが本来の相続人に代わりに遺産を相続する制度です。

代襲相続の原因になる事由としては、以下のものが挙げられます。

  • 相続人が被相続人より先に死亡
  • 相続人が欠格事由に該当相続人が相続排除された

代襲相続に関する基本的な事項は、以下のコラムをご参照ください。

■代襲相続とは|範囲はどこまで?相続割合・順位などを解説

代襲相続とは|範囲はどこまで?相続割合・順位などを解説

2. 代襲相続できない場合

代襲相続の原因があったとしても、以下のようなケースでは、代襲相続することはできません。

(1)相続放棄した相続人の子ども

相続放棄とは、遺産に関する一切の権利を放棄する制度です。相続放棄をすることによりその相続人は、初めから相続人でなかったものとみなされますので、代襲相続は発生しません。

(2)被相続人より後に死亡した相続人の子ども

代襲相続が発生するのは、相続人が被相続人よりも「前に」死亡している場合です。相続人が被相続人よりも「後に」死亡した場合には、そもそも代襲相続の要件を満たさず、代襲相続は発生しません。

この場合、死亡した相続人の相続人が被相続人の遺産分割協議に参加することになります。

(3)遺言書で指定された者が相続開始前に亡くなっていた場合

例えば、以下のような内容の遺言書があった場合を考えてみましょう。

  • 「長男に不動産を相続させる」

被相続人が亡くなると、遺言内容に従って長男が不動産を相続します。

では、遺言書で指定された人が遺言者よりも先に亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか。

この場合には、相続人が被相続人よりも「前に」亡くなっている場合ですので、代襲相続は発生します。

しかし、遺言書で指定された人が、遺言者よりも先に亡くなっていた場合、遺言書の当該部分は無効になります。

そのため、代襲相続人は、遺言により遺産を相続することはできず、代襲相続人として遺産分割協議に参加する必要があります。

(4)被相続人の甥・姪の子ども

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合で、兄弟姉妹が被相続人よりも前に亡くなっている場合には、兄弟姉妹の子ども(被相続人の甥・姪)が代襲相続人として、遺産を相続することができます。

しかし、兄弟姉妹が相続するケースでは、代襲相続ができる範囲は一代限りとされており、再代襲相続は認められていません。

そのため、被相続人の甥・姪も被相続人よりも前に亡くなっていたとしても、代襲相続(再代襲相続)は発生しません。

(5)養子縁組前に生まれた養子の子ども

被相続人の「養子」は、実子と同様に相続権のある子どもに該当しますので、被相続人が亡くなった場合、遺産を相続することができます。

しかし、養子の子どもに代襲相続が発生するかは、養子の子どもが養子縁組の前に生まれていたのか、後に生まれたのかによって結論が異なります。養子の子どもが養子縁組の前に生まれていた場合には、養親との間に血縁関係は生じませんので、代襲相続は発生しません。

これに対して、養子の子どもが養子縁組の後に生まれていた場合には、法律上の血縁関係が生じますので、代襲相続が発生します。

(6)再婚した配偶者の連れ子

再婚した配偶者に連れ子がいて、配偶者が被相続人よりも前に亡くなったとしても、連れ子は、代襲相続人にはなりません。

なぜなら、代襲相続が発生するのは、被相続人の子どもと兄弟姉妹に対して代襲相続原因があった場合に限られるからです。配偶者も被相続人の相続人ですが、配偶者が死亡したとしても代襲相続は発生しませんので注意が必要です。

また、再婚した配偶者に連れ子がいる場合、再婚という事実だけでは、連れ子は被相続人の遺産を相続する権利はありません。再婚相手の連れ子に遺産を相続させたいのであれば、養子縁組をするか遺言書を作成するなどの対策が必要になります。

3. 遺言書で代襲相続させないことはできる

遺言書により代襲相続させないことはできるのでしょうか。

(1)孫に代襲相続させないための遺言書の作成法

生前に遺言書を作成することで、遺言者の「孫」に代襲相続させないことも可能です。疎遠である孫よりも自分の子どもに多くの財産を残したいという場合には、このような方法が利用されることがあります。

孫に代襲相続させたくない場合は、被代襲者以外の相続人にすべての遺産を相続させる旨の遺言書を作成することで実現できます。

(2)甥・姪に代襲相続させないための遺言書作成法

孫に代襲相続させたくない場合と同様に、遺言書を作成することで遺言者の「甥・姪」に代襲相続させないことも可能です。

この場合も被代襲者以外の相続人にすべての遺産を相続させる旨の遺言書を作成することで実現できます。

(3)遺言書作成時の注意点

遺言書で代襲相続させない場合には、以下の点に注意が必要です。

①代襲相続人が甥・姪以外の場合は遺留分侵害額請求が可能

遺言書で代襲相続させない場合には、代襲相続人の遺留分に配慮する必要があります。

代襲相続人が甥・姪の場合には、法律上、遺留分が保障されていません。

そのため、代襲相続人以外の相続人にすべての遺産を相続させたとしても、代襲相続人は遺留分侵害額請求権を行使することができません。

しかし、代襲相続人が甥・姪以外の場合は、法律上、遺留分が保障されていますので、他の相続人にすべての遺産を相続させてしまうと、代襲相続人の遺留分を侵害してしまいます。

この場合には、代襲相続人から遺留分侵害額請求を受けるリスクがありますので注意が必要です。

②相続人や代襲相続人が多いと、遺言書の内容が複雑になる

代襲相続人に代襲相続させない内容の遺言書を作成する場合には、被代襲者が遺言書作成時点で生存しているか否かによって内容が異なってきます。

また、代襲相続人以外の相続人に遺産を相続させる旨の遺言書を作成したとしても、当該相続人が遺言者よりも先に死亡してしまうと、その部分の遺言が無効になってしまいます。

そのため、先に相続人が死亡した場合に備えた予備的な遺言も残しておかなければなりません。

このように相続人や代襲相続人が多いと遺言書の内容も複雑になりますので、漏れのない遺言書を作成するためにも、専門家に相談するべきでしょう。

4. まとめ

今回は代襲相続できない場合、遺産を代襲相続でもらえるか、もらえないか、孫に代襲相続させたくない場合はどうするか、甥姪の遺留分侵害額請求は可能かなど、その他注意点などについて解説しました。

被相続人よりも先に相続人(被相続人の子どもまたは兄弟姉妹)が亡くなっている場合には、当該相続人の子どもが代襲相続により相続権を取得します。

しかし、被代襲者が相続放棄をしていた場合などのケースでは、代襲相続は発生しませんので、代襲相続人は遺産を相続することはできません。

また、遺言の内容によっては、代襲相続人が遺産を相続できないケースもあります。

相続税や遺産相続などについては、法律の専門家にご相談ください。

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