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1 構造変化の中での再生の為の事業承継
◆ 1 中小企業の開廃業の現状
中小企業を取り巻く環境は大変に厳しく、景況回復の足取りは重いうえに「貸し渋り」の問題、情報技術の革新問題は更に深刻な影響を与えている。現に平成3年7月から平成8年10月までの開業企業数の年平均は143,375社、年平均開業率は2.7%であるのに対し、同期間の廃業企業数は年平均で171,559社であり、年平均廃業率は3.2%に達しているのを見ても明らかである。このような経済環境下にあっても専門性を生かしてIT関連、ネット関連を中心として平成10年には雇用保険新規成立事業所が76,861件あり、構造改革は中小企業にあっても少しずつ進んでいる。
一方、終戦から50年を過ぎた現在、戦後の日本経済の発展を担った世代が世代交代期を迎えた時期にバブル崩壊により痛手を受け、産業構造の変化・情報技術の改新により廃業に追い込まれており、平成10年には雇用保険消滅事業所数は62,465件に達している。雇用保険を適用して、より専門性の高い事業所に体質を変え、人材の確保に努め、生き残り対策を講じつつある中小企業の姿もみることができる。
しかし前述したように、廃業率が3.2%にも達し、事業承継ができずに多くの事業所が時代の変化に対応できずに、開業事業所を上回る数の事業所が廃業しているのである(図表1 参照)。
図表1 企業の開廃業率の推移 (非一次産業,年平均)

◆ 2 事業承継の現況
厳しい経済環境下にあっても、約650万の中小企業が経営を維持しており、その中で実に480万もの小規模事業所が経営を維持している。中小企業の開廃業でも触れたように、毎年約15万の事業所が時代要請に応じて新規参入をしてくるが、他方17万を超える事業所が時代の要請に応えられず倒産・廃業して熾烈な新陳代謝を繰り返しているのである。中小企業の多くが戦後20年代に家業として家族を中心に創業し、高度成長期を経て従業員300名を越す企業に発展した事業所と、従業員5名以下に停まっている事業所もあるが、いずれも家族を引きずって今日の世代交代期を迎えている。(図表2 参照)
図表2 労働省「雇用保険事業年報」による企業の開廃業数
| 年 |
新規成立事業所数 |
消滅事業所数 |
前年度末適用事業所数 |
| 昭和56 |
96,124 |
50,052 |
1,335,485 |
| 57 |
88,448 |
79,992 |
1,385,310 |
| 58 |
85,620 |
60,665 |
1,401,859 |
| 59 |
85,220 |
60,898 |
1,433,596 |
| 60 |
84,962 |
61,612 |
1,462,634 |
| 61 |
89,605 |
61,800 |
1,490,338 |
| 62 |
103,575 |
56,574 |
1,522,074 |
| 63 |
116,358 |
53,382 |
1,571,733 |
| 平成元 |
109,705 |
52,286 |
1,637,182 |
| 2 |
106,261 |
50,952 |
1,698,185 |
| 3 |
101,598 |
57,130 |
1,757,084 |
| 4 |
92,565 |
59,936 |
1,805,299 |
| 5 |
85,569 |
63,401 |
1,841,042 |
| 6 |
88,816 |
64,168 |
1,866,278 |
| 7 |
87,709 |
68,709 |
1,893,704 |
| 8 |
90,520 |
47,859 |
1,915,202 |
| 9 |
83,199 |
54,288 |
1,958,664 |
| 10 |
76,861 |
62,465 |
1,988,192 |
東京商工会議所が平成11年に行った東商新聞「事業承継に関する経営者アンケート」(回答総数85件)によれば、
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事業承継を行ううえでの問題点として、回答者の約5割が「後継者への経営権(自社株の過半数等)の譲渡が容易でない」(49.4%)としており、次いで、約3割が「後継者がいない・決まっていない」(34.1%)、「相続税が払えない」(34.1%)と回答している。
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| ● |
事業を承継する場合の後継者については、回答者の約6割が「子供(娘婿・嫁等の含む)に決めている」(61.2%)としており、次いで「後継者は決まっていないがいずれみつけて事業を続ける」が25.9%と回答している。また、後継者がいないため今後「他社との合併を考えている(2.4%)・事業の売却を考えている(2.4%)」との回答が約5%(4.8%)あった。
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| ● |
事業承継に際して相続税を支払う場合の資金の捻出方法としては、「金融機関からの借り入れ」が最も多く約5割(49.4%)、次いで、「相続税の延納・物納」(44.7%)、「役員退職金・慰労金」(37.6%)、「生命保険金」(31.8%)の順となっている。
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と、経営者の悩みが滲みでている。
規制緩和の今日、世代交代の時だと思っている経営者は年齢によって異なるが、61〜70歳では66%、71歳以上では86.7%が交代の時と回答している。その交代の時期と回答している社長のうち、後継者をすでに決めている人が60%弱であり、後継者を決めかねているオーナー経営者も相当数に達している。オーナー経営者が世代交代を考える時期としては、65歳を基準とし、体力や気力の衰えを感じ始めることと、時代に対応した業種に体質を変換するには体力の限界を感ずること、そして最大の問題点は取引先の業務担当者との考え方の差を強く感じ次世代の経営者に仕事を継続して譲るには、後継者が取引先の担当者と本音で交渉出来る世代に替えねばと心の内では決めている。
一方、事業承継を行った経営者の世代交代のきっかけは「後継者の成長」が最も多く61.4%、次いで「経営の活性化をはかるため」が43%となっており、次世代の経営者と目される後継者の成長を強く期待している姿が浮かび上がってくる。
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